和算とは

- 和算(わさん)とは日本で独自に発達した数学です。
- 特に江戸後期には日本中で数学ブームが起き、最終的に関孝和が行列式や高等数学を大成させました。
- しかし、明治時代に西欧数学が輸入され、和算は日本の教育現場から姿を消していきます。
和算といま

- 明治時代以降、使われなくなってしまった和算ですが、現代、その素晴らしい文化や内容が各方面で見直されてきています。
- 「鶴亀算」などは皆さん聞いたことがある方も多いかもしれません。
- これは中学受験の問題ですが、首都圏の私立学校を中心に、和算を授業に取り入れる動きも出てきています。
- また和算を題材にした小説や漫画など和算を扱った書籍も最近では数多く出てきているようで、数学が好きな女性(いわゆる数学女子)を中心に密かにブームになっているそうです。
和算の特徴

- 和算が見直されてきている理由は、その楽しいストーリー性にあります。
- 例えば若い少女を好きになってしまった男性の禁断の恋を題材にしているものや、家督相続で遺産をどう分配するかといった生々しいものもあります。
- 無味乾燥な問題ではなく、問題ひとつひとつに愛や楽しさがある、まさに江戸っ子ならではの粋さが垣間見れますね。
和算の歴史
- 奈良時代
中国から数学と計算道具の「算木」が伝わる。
算博士が算生に数学を教える。
- 平安時代
万葉集に「九九」の記述あり。
- 室町時代
中国の明からそろばんや数学の本が貿易を介して伝わる。
- 1600年
日本最古の数学書「算用記」ができる。
割り算や利息の計算などが行われる。
- 17世紀
寺子屋(庶民の学校)でそろばんの計算を教えるようになる。
- 1622年
毛利重能の「割算書」ができる。
- 1627年
吉田光由の「塵劫記」ができる。
そろばんの計算を記述した本書は大ベストセラーとなり、類似本・海賊本が数多く出版されることとなる。
- 1641年
吉田光由の「新篇塵劫記」ができる。。 巻末に答えのない難問を載せ、他人に解かせる「遺題継承」が数学者の間で流行する。
- 1674年
関孝和の「発微算法」ができる。
当時のヨーロッパよりも早く行列式を発明し、和算を大成させる。
- 1683年
日本最古の数学絵馬「算額」が栃木県佐野市に奉納される。
算額の説明はこちら
- 18世紀
建部賢弘の和算全書「大成算経」が完成。
全国的に和算・数学がブームとなり、出版や遊算の旅に出るもの多数。
- 1872年
明治政府は小学校の授業に西洋数学を採用。
以降和算は廃れていく。
算木について

- 算木(さんぎ)は和算で用いられた計算用具です。
- 縦または横に木の棒を置くことで数を表し、計算を行いました。
- また算木に基づく算木数字も使われました。
